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観用少女特集号・ネムキ7月号増刊/川原由美子

「単行本未収録作品収録」につられて購入。単行本派だったので、カラーが見られたことが嬉しい。単行本未収録をこういう、雑誌の形で出すってことは、もう単行本にはならないのだろうか。
作者のインタビューもついてます。インタビューによると、「観用少年」という"ただれた"モノは、作者の中ではありえないそうです。でも確かに、愛玩するなら少年よりも少女だな。思想がオヤジだ。
「夜来香」というお話は怖かった…。「メランコリィの花冠」というお話で、育ちすぎたプランツ・ドールは大人になってしまうというのがあったけれど、「夜来香」という話は少々エグい。
育ちすぎたプランツは、人間の殿方と結ばれて卵を産む。その卵は、様々な人々の美しい夢を蓄えて、長い時間をかけて孵る――そんなおとぎ話がある。旅先の、とてもいい匂いをさせる宿屋の娘に一目惚れをして、やっと口説き落とした男が、寝物語に娘にそんな話をされたら―――そんな話。
プランツは、卵を産むために人間の男を誘惑するのだろうか? 意思を持ってそんな事をするのだろうか? それとも、意思を持たずにそういうことをするのだろうか?
想像するとちょっと怖い……
結局その話は、真実なのか単なるおとぎ話なのか曖昧なまま終わるのだが。


私は「スノウホワイト」というお話が好きだ。
仕事を失い、挙句難病を患ってしまった青年が、命が尽きようという時にプランツ・ドールと出逢う。プランツ屋の兄ちゃんは、「わざと」極貧の青年にプランツ・ドールを盗ませる。やがて青年は死に、プランツは店に返品されてくる。着せられている洋服はみすぼらしかったけれど、その容姿は美しく保たれて、死んだ彼の為に涙を流すプランツを見て、プランツ屋の兄ちゃんが、
「さぞや大切に慈しんで下さったのでしょう。きれいになって戻ってきたね」
と言うところでボロ泣き。
どんな状況であれ、死に際は満たされて穏やかでいたいものだ。私もそうありたいのだが。なんて。