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君に届け 1〜5/椎名軽穂

見た目が暗いだけで根はポジティブシンキング(天然ともいう)な女の子の物語。
…と書くとあまりにもはしょりすぎか。
主人公の爽子がとにかく可愛くて仕方が無い。普通、無視されたり遠巻きに噂の標的にされたり怖がられたりしたら、イジメかっていじけるよ。
ましてや高校生なんて学校が世界のすべてだったりするから、もう世の中ヒネてしまったって無理はないのに。
爽子は人の役に立つことばかり考えているのだ。
そして人気者である風早との出会いで、すこしずつクラスに打ち解けて、友達ができて、他愛無い話をしたり、寄り道をしたり学校行事に参加したりすることに新鮮に驚きながら、そのうち恋愛感情を覚えていくのだ……
もうひとつひとつの出来事が、既に学生から遠ざかっている身には、なんていうかもう……
は、恥ずかしいっていうか、可愛いっていうか、いちいち床を転げまわってしまうよ。
だってもう……

相手の名前を書くだけでドキドキするなんて、なんて、なんて……!!! (悶え中)


しかし風早があまりにもヘタレでな……
「(爽子と)10秒以上目を合わせると呪われる」という噂が事実無根な事を証明してあげたいのに、いざ目を合わせようとしたら、照れてしまって2秒以上目を合わせられない、とか、
他の男子が爽子の名前を呼び捨てるのを聞いてムッとしてみたりとか、素晴らしいヘタレだ。
初めは「このヘタレめ…」と思っていたけれど、爽子がなにぶん天然なので、「まあ気長にがんばれよ…」とニヤニヤ見守る感じになってきた。
特に4、5巻では、他の男子と話している爽子を思わず引っ攫ってみたりとか、
疲れて寝ている爽子に肩を貸してみたりとかちゅー未遂があったりとか、
「もうお前ら付き合っちゃえよ!!!!!!」と地団駄踏む勢いなのにお互いの気持ちに鈍感で、
なにコレどんな「ときめきメモリアル」!? もしかして告白は卒業式に伝説の木の下で!?


風早を振り向かせる為にあらゆる手段を使って爽子を追い込む、くるみちゃんが登場した時、これはもしかして今後ドロドロのイジメ展開になっちゃうのかな、と思ったら、お互いを認める形になってきて、かなりホッとした。
彼氏彼女の事情」も、最初はこんなテイストの話だったのに…と遠い目になりましたが。


「誤解されたままじゃイヤだ」とか「ちゃんと話せば分かり合える」なんて、確かに若さゆえのある種の傲慢さでもあるが、
そのまっすぐさは、いつか社会に出たとき、杭のように打たれまくるかもしれないけれど、決して折れないで欲しいと祈らずにはいられない。


あーそれにしても「つかんで10秒」って教えるべきだったな、教師よ。


君に届け 5 (マーガレットコミックス)

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