このブログはBLを扱っております。苦手な方はご注意下さい




世界で一番可愛いあの子/森山侑紀

続き物とはうっかり知らずに買ってきてしまったが、この本からでも不自由はなかった。
しかしこれほどジャンルがわからない本はないな。「BL」のカテゴリーに入れていいのか……
背表紙のホワイトハートのカラーラベルは緑色なので非BLのはずなんですが、
(講談社X文庫ホワイトハートの表紙ラベルは緑色=ファンタジー・非BL、紫色=恋愛・BLと聞いた事が)
BL要素抜きの話はできそうもないので、BLのカテゴリーにも入れることにする。


主人公の和也は男子なのだが、受け継がれた体質のせいで美少女になってしまったりする。しかも自分ではコントロールできない。美少女になったときは語尾が「だっちゃ」になる。らんまとラムちゃんが混じったようだ。戦闘能力が無いのが残念。
和也には真澄という男の婚約者がいる。いくら女性体になってしまうといっても、心は男子である和也は「男同士はありえない」と逃げ回っている。ある日真澄に迫られた和也はアライグマになってしまう……


主人公達が通う学園に関わる人間達はすべて「体は魂の器にすぎない」という信条の持ち主だ。
「自分は男は好きじゃない、好きになったのがたまたま男だった」というのはBLでは高確率で出会うシチュエーションだが、和也の婚約者である真澄は、和也が男だろうが女になろうがアライグマになろうが「君は僕の妻だ。一生守るから安心しなさい」とのたまうのだ。もうどんだけワン・アンド・オンリーなんだ。「たまたま男だった」なんてレベルじゃない。ここまで徹底してると納得する。
アライグマ化した和也は、ものすごく真澄になついてる。いつも真澄の膝にだっこされて、真澄の顔をペロペロ舐めたり鼻をすりつけたりする。ちょっと可愛い。
だがそれ以上に、どんな時にもポーカーフェイスな真澄が、アライグマ和也にペロペロされて照れている様は、うっかり可愛くてなごんでしまった。
しかもアライグマの洗い方がわからなくて、頭部をシャンプーで、体はボディシャンプーで律儀に洗ってあげてるし真澄……

だっこされたり舐めたり、アライグマ和也は無防備だなぁと思っていたら案の定、男に戻った時に真澄を意識して泣きそうになっているのだった。
女体化することもあるので特にBLだとは思ってなかったのだけど、男性体の時に意識されると……何だろうやっぱりBL要素を狙ってるんだろうか……


和也のアライグマになる呪いの解き方は……目が点になってしまった。呪いの原因となった朝比奈先輩(♂)が祝言をあげなければならないのだが、和也の身代わりとなって中里先輩(♂)と結婚式を挙げて、そこまでで終わると思っていた私が甘かった。和也と同じタイミングで「次? 次もあるのか…」と同じセリフを呟いてしまったぞ。どう考えてもBL小説です。BLもつきつめればファンタジーと言えなくもないけど。


世界で一番可愛いあの子 (講談社X文庫―ホワイトハート)

世界で一番可愛いあの子 (講談社X文庫―ホワイトハート)