このブログはBLを扱っております。苦手な方はご注意下さい




9.長靴をはいた黒猫/佐藤ラカン


あらすじ。
フレンチレストラン「黒猫亭」のシェフ・鷹嶋はオーナーでギャルソンの花崗(通称・黒猫)に思いを寄せているが、花崗には長年のパトロンがいる。
ある日、「黒猫亭」の新人従業員・泉宮が客に暴行される事件が起こる。その翌日、黒猫は何故か店を休み、鷹嶋は黒猫のパトロン・長澤に呼び出される……


いやもう本当に、料理の出来る人が側にいるっていいなあ! としみじみと思ってしまった。人間の3大欲求をすべて満たしてくれるんだからもう本当に。
いいよなー。疲れてお茶くれって言ったら、ちょっと甘めのアイスグレープフルーツティーが出てくるんだぜ…ってこれはその人の才覚によるか。
鷹嶋はフランスでの修行時代、黒猫に課せられた厳しい修行のせいで鬱状態になる。
なので、すべてに対して恐ろしいほどのネガティブ思考。
自分が取るに足らない人間でいつ黒猫に見放されても仕方が無い、と信じきっているので、常に一人でぐるぐる悩んでいる。黒猫は黒猫で、鷹嶋をそんな風にしたのは自分だと罪悪感を持っていて、鷹嶋は一生自分が面倒見ようと密かに決めている。男前、男前だよ黒猫。
でも、ぐるぐるしているなりに、鷹嶋は鷹嶋できちんと自分の出来ることをし、負けっぱなしでないし、黒猫はちゃんと経営者らしく従業員の事を考えているし、新人従業員はちゃんと成長しようとする。ので、楽しく読めました。
ただ、はっきりとした描写ではなく、ちょっとニュアンス的な表現をされているので、軽くは読めなかったけど……いや、私の読解力が足りないのかも。


そしてBL小説の装丁は多々あれど、シャレード文庫って言葉責めだよね。BL本の表紙は大抵羞恥プレイなので、裏返してレジ出そうと思ったらアレなセリフがでかでかと書いてあるもんな……。
表紙も裏表紙も口絵も肌色なリンクスロマンスよりマシといえばマシか……?
私が今まで買ったシャレード文庫の中で一番羞恥プレイだったのは、高遠琉加さんの「楽園建造計画3」の裏表紙「おまえの体は、おれが買う」でした。


ところでこの本の、表題作の扉絵がとても好きなのです。あれを表紙にしてくれたらよかったのに。


wrote:2007-4-8

長靴をはいた黒猫 (二見シャレード文庫)

長靴をはいた黒猫 (二見シャレード文庫)